意外といい奴「ジクサー」

2022年12月21日ジクサー

安いから買ってみたら、意外と面白い奴だった…

結構、多くのジクサーオーナーが口にする言葉かもしれない。
同クラスのライバル車両に比べて、あまりに格安すぎるお買い得な値段には、お金持ち以外の一般ライダーの誰もが見向きした…どころか二度見したかも知れない「格安250」という存在感。
何もかも価格が高騰していく今、何もかも新型として設計されたにもかかわらずにその値段。
バイクのことをよく知る人ほど、理解できなかったかもしれない。
「まあ、安いからこれでいいや」
と思って買って乗ってみたら、意外と面白くて気に入ってしまった…。
そんな突然の出会いからはや2年が過ぎた。
あれから2年経った今、ジクサー250は1オーナーにとってどのような存在となっているのか、綴ってみたいと思います。

意外と静か過ぎる奴。

250単気筒といえば、ストリートビンテージなオシャレなマシンやモトクロスなどを連想して、強い振動とインパクトをライダーに与える印象がありますが、ジクサーは静か過ぎです。
あまりの静かさに、あの武田信玄をも唸らせる「静かなること林の如く」よろしく、バイクとしてはショボすぎる音に驚かされるかも知れません。
ジクサーオーナーたちは、このショボすぎる静かなエンジン音を聞いて納得してオーナーとなった…なら間違いなくのんびりと余生を過ごしたいライダーなのかと思います。
若者はすぐさまマフラーをカスタムしてしまうことでしょう。
早朝のエンジン始動でも平気。ぶっ飛ばしてくる新聞配達のカブよりも静かです。
早朝から通勤でバイクを利用するような人にはうってつけな静かさ。
眠る子供のそばでエンジンを駆けても平気…かどうかは保証できませんが、それでも大丈夫ではないかと思ってしまうくらい静かです。
その静かさは、穏やかな振動へとつながるので、これまた長距離ツーリングでの疲労感が全く違ってきます。
知らんうちに400km走ってたなんてザラ。
とにかくこのショボい音と振動が、長距離ツーリングの疲労を和らげてくれるのです。
音で楽しむバイクの時代は終わった。今は穏やかに長い距離を走ってのんびりバイクと共に同じ時間を過ごすのが楽しいのです。(思いきり主観)

意外と燃費がいい奴

ネット徘徊していると、よく耳にする「ジクサーの燃費」。
最近の250の燃費基準がどれくらいなのかは知りませんが、ツーリングなら40km/lは余裕です。
通勤なら35km/lくらいで、寒くなると32km/lと極端に落ちます。
公道を走って30km/lを切ったことはありません。
ジムカーナとかサーキットとかでぶん回せば切ることができますが、あんましおススメしません
前述のショボいエンジン音とシンクロするかのような、強烈な燃費。
この燃費のウワサでジクサー250をチョイスする人もいるかと思いますが、燃費なら150をおススメします。
150も乗ってみると面白いし、攻めた走りをしなければ十分楽しめる奴です。
大きなカブという印象がとっても強い。気持ちも穏やかになれます
そもそも250もそうですが、ジクサーという奴は攻めてもあまり面白くありません。
そういうのを求めてジクサーを選ぶと失敗するだけなので、他の速い車種をチョイスしましょう。

攻めても、結構つまらない奴

言ってしまえば回しても走らないという印象。
一般的なスポーツバイクのように、高回転近くのパワーバンドに入れたら官能的なパワーを感じて、脳髄を突き抜けるような感覚を得る…という楽しみはありません。
開けてると、いつのまにかレブに入ってビョンビョンビョン(ジクサーのレブ音)とかいうショボい音で終わりを迎えて、パワーもへったくれもないかったるいパワーに「え!?もう終わりなの!?」という声が聞こえてくるくらいショボいです。
レッドゾーンに入って高回転エリアに来たときは、エンブレでも掛かったのかというくらいの限界感を得ることができます。
つまりは、回してもつまらんエンジンです。
重苦しい加速感は、さらに言ってしまえばフツーのバイクの印象です。
そして、バンク角がアホほど浅いです。
熟練したライダーであれば、交差点でバンクセンサーを擦るくらい浅い。
アメリカンよりはマシですが、他のスポーツバイクに比べてもあまりに浅すぎる。
逆に初心者でも、すぐにジクサーの限界レベルに触れる喜びを得られるので、これはこれでアリなのかも知れません。
そんな、走りの限界の浅さは、ライダーに限界を絞り出してマシンを手懐ける楽しみを教えてくれるバイクだと思います。

瞬発力の無さとバンク角の無さが致命的で、活きた走りをするにはかなり人間が引っ張ってあげないといけないポテンシャル。
サイドスタンドの出っ張りが接地して後輪が浮いて滑ってます。
これ以後、その出っ張りをサンダーで削り飛ばしてバンク角を増やしましたが、今度は根本が接地。
それでも他のスポーツバイクのフルバンクより浅い。
ただ、ちょっと練習すれば限界走行まで到達できるので、めいっぱいポテンシャルを出し切って楽しむという乗り方もアリかも知れません。

意外と軽い奴

「軽い奴」と言われると、ナンパな陽キャにーちゃんのような感じだけど、そうじゃない。
ここでいう軽いというのは、物理的に軽いということ。

見かけはかなりマッチョな感じで、非常に重苦しいイメージが脳髄に入って来そうですが、実際取り回すと、中身はスッカラカンな程の軽さに驚きを隠せません。
そりゃもう、なんか知らんけど軽いです。中身のメカニズムはどうなっているのか疑問に思うくらい軽いです。
その軽さを実践している動画たちを見てみましょう。

これら動画の引き起こしを見ると、教習所で習ったような引き起こしはやっておらず、ハンドル持って「えいっ!」という感じで引き起こしています。
つまり、ジクサーってそれだけ軽いんです!本当に軽い。
マッチョな見かけとは、まったくうらはらなジクサー250。
この点では初心者にはかなり優しいバイクではないかと思いますよ。
初心者にとっては、軽さは安心につながります。

足つきはあまり良くない奴だけど…

シート高が結構あるのですが、タンクに向かって下がりながら細くなっているため、前乗りすればそこまで足つきの心配はしなくても大丈夫です。
あとは先述の通り非常に軽いので、足つきの悪さは軽さで帳消しになります。
最近、こんなマイナーで人を選ぶようなデザインなのに、やや小柄な女性オーナーも見かけるようになってきているので、足つきとかの心配はクリアーしているのではないでしょうか。
足つきが良くなる、車高を下げるようなキットも出ているようなので、物理的にもクリアーできそうな気はします。

これはかなり…やりすぎですね。

タイヤサイズは安心させる奴

タイヤサイズは安定のF110R150の、ほとんどのタイヤメーカーからラインナップされているサイズなので、タイヤにこだわる人も安心。
一方、ジクサー150についてはF100のため、少し選択幅が狭くなります。
なお、僕はRに140を入れていますが、特に問題なく走れています。そこはお好みで…。
お安く、そしてスポーツ走行もそれなりにこなす面白いタイヤはありますよ。

バイアスタイヤで安価ですが、それなりに頑張ってくれます。
個人的な印象としては、純正のGPR300よりも安心感が上。
ジクサーと同じく、コストパフォーマンスに優れていると思います。

意外と売れている奴

関西のジクサーオフで盛り上げてくれるBLANKさんを筆頭に、結構なジクサーオーナーが集う。
それだけではなく、普段公道を走っているとかなりの確率でジクサーを目にする機会が多くなってきました。
この不況なご時世の中なので、安いからというのが一番売れる理由とは思われますが、なかなか頻繁な遭遇率。
たまにバイク用品店などでも見かけますが、僕自身がスーパー人見知りくんのために、お話しする機会が全然なくて、どういったことでジクサーを選んで乗っているのか知ることができずにいます。
ごまさんや六甲の植物園近くなどにいるガチなSS乗り達ほどのすごく話しかけづらいオーラが出ているわけではないのに、今一つ話しかける勇気がありません。
神様!話しかける勇気をください…!でなければ、情報が集まりません。

オフ会ではお話できるのに、一般的なSAや道の駅などではとても…
人とは不思議なものです。…特におまえ!…みたいな。

基本的に乗りやすい奴

乗ると、大きなクセもなく平均的にバランスの取れた扱いやすさから、初心者ライダーにも優しい奴です。
ちょっとライテクを磨けば、素直に曲がってくれるし公道でも安心に走れるくらいのレベルになれること請け合い。
ジクサーの軽さと突飛しないエンジンフィーリングは、初心者におススメ。
バイクとしての楽しさを、イージーに伝えてくれます。
そのためか、初心者講習会などのバイクイベントでは、たびたび見かけるようになりました。

まるで教習所の貸し出し車両かのように並んでいますが、みんな参加者であり別に打ち合わせをして集まったわけではありません
おセレブな方にとっては、練習用の二番機としても愛されているようで、安さと扱いやすさとお気軽に駆り出せる相棒的な印象からか、こういう技術的なイベントでも顔を見せるようになったジクサー。
増殖は止まらないようです。

パーツのラインナップも増えてきた奴

少しずつですが、ジクサー専用のパーツも増えてきているように思います。
さすがにCBRや忍者やRシリーズのように、同じ250の人気モデルに比べると全く及ばないラインナップ数ではありますが、地味に…そして確実にジクサーの魅力がパーツメーカーさんたちに響いてきているように思われます。
もっとジクサー乗りの人が増えてきて、盛り上がってくればきっと、パーツメーカーさんたちもたくさん専用パーツをラインナップしてくれる!…そう期待しながら待ちましょう。
ここを見てくださっているジクサー乗りのみなさま!
どうかジクサーを盛り上げて、パーツメーカーさんの目に留まるよう、一緒にこれに参加して協力してください!

安っぽさは否めない奴

ジクサーはとっても安いです。安すぎます。
他の250と比べれば圧倒的に安いです。
その安さ故に、性能や走りも安っぽいのは仕方がありません。
ブレーキや最高出力、仕事しない足回りなどはどうしようもありません。
しかし、その安っぽさたちが合わさって、意外に安っぽいコラボレーションを奏でて一つのジクサーというジャンルを造り上げて、意外な安っぽい走りに魅力を感じたりします。
走りに不満があったとしても、まあ安いしで済まされる悟りを開くことに近い、もはや諦めとも言えるジクサー思想に入り込むことができれば勝ちです
ジクサーに乗った後に、他の高価な250に乗れば、そのメカニズムや走りにお金が掛かっていることがすぐにでもわかってしまうほど、ジクサーの装備や造りは安っぽいです。
しかし車種によってはその半額で手に入ってしまうお手軽さは、ある意味ジクサーの魔力。
この不況な世の中、安さの魔力には勝てません。

2年間乗ってみて、その安さの割には完成度は高い…そういう印象はあります。
マシンの能力としても、それほどの不満が無いのは安いから。
逆に、こんなに安いのにここまで楽しめればいいじゃないの…というのが個人的な印象です。

意外と飽きがくるのが早い奴

バランスが取れている走りではあるけど、ピーキーさもなくクセも無いので、人によっては飽きが来るのも早いのではないかという印象があります。
それはジクサーをファーストバイクとしてお迎えした新米ライダーであればあるほど、そう感じる人が多そうな印象です。
それもそのはず、先述のように安っぽいし、回してもつまらないし、意外と限界も浅いので、乗りこなした達成感を感じずにいられないのではないかと思われます。
意外とあまり突き詰めずに大型二輪へとステップアップしていく新米ライダーが目に浮かびます。
でも、それでいいと思います。
バイクに求めるものは人によって色々あるし、どんなバイクに乗るのも自由なのです。
バイクはたくさんありますので、好きなものを選んで乗るべきです。
そして、自分の相性にぴったんこなマシンに出会えれば、最高のバイクライフを送れると思います。
ただ、色んなハイパワーマシンを乗り継いできた人や、競技などでバイクの限界などを切り詰めた人がジクサーに乗った場合は、ちょっと印象が違うかも知れません。
こいつ…ジクサーはちょっと250とは違う味を持っています。
単気筒らしくない静かさと、250にあるアクセル回さないと走らないという常識を覆しているし、経済的で悟りを開けばそれなりに楽しめる…という老人ホーム的な要素があるため、ベテランライダーほどジクサーにハマりやすいように思います。
だから、一度は大型マシンや戦闘力の高いマシンを体験して色々と乗り継いで行けばいいのです。体験せずにバイクライフを終えるのはもったいないです。
そして、ジクサーという老人ホームに戻ってこればいいのです。
それまで、ジクサーが存在していればの話ですがね…。
…ただ、こんな不況なご時世に色々と選ぶ余裕があるようなセレブが、こんな老人ホームに戻ってくるのかどうかは疑問ではありますがね。

性能の低さをライダーで補うマゾな奴

まあはっきり言って、ジクサーはそんなに速いバイクではありません。
乗りやすいのと速いのは別になってくると思います。
これといったとびぬけた長所が無いので、ぶっとんだ走りができないのも事実です。
限界はとっても浅い。
だがしかし、世の中にはぶっ飛んだ人も多く、そんなジクサーを鬼のように速く走らせたり、とんでも悪路をモトクロッサーのように走り抜けたり、くるんくるんと他のバイクを圧倒するような走りを見せたりするライダーがいますので、ジクサーはライダー次第でポテンシャルを高めることができる可能性は持っているのだと思います。
僕はとてもそんなことはできませんが、動画でも証明してるところがあるので否めません。
…でも、本当に速く走りたい!…というのであれば、早めに戦闘力の高いバイクに乗り換えた方がいいです。
これらめっちゃ速いライダーさんは、別の速いバイクで乗り方を極めた人がほとんどです。
ジクサーは速く走るための乗り方を教えてくれるバイクではないと思います。
乗りやすいけど、あくまで乗りやすいのと速いのは別。
ジクサーで無理すると危険です。

総合的にお値段以上な奴

「お値段以上〇トリ」というキャッチフレーズが有名ですが、バイクでは「お値段以上ジクサー」というキャッチフレーズがあっても、誰も否定しないと思います。
2年間乗ってきたけれど、今のところノートラブルですし、安っぽい安っぽいを連呼してる割には、まったく壊れません。
他のオーナーではちらほらとトラブルを耳にしますが、ジクサーは不具合だらけだ!という声は少なそうです。
燃費の良さでも大助かりで…

車種燃費約一か月の燃料出費
サンバー15km/l8000円
SV650S25km/l4800円
ジクサー25035km/l3428円

うちの所有する車種たちですが、どれも車種的に燃費良いと言われる猛者であっても、こんなに違ってきます。(片道15kmを25日)
こういう経済的な面でも、お小遣い少ないパパたちなら大きな味方になってくれるでしょう。
さらに色々と楽しめるというのであれば、単なる通勤スクーターを買うよりも、安くて面白いジクサーを通勤用にチョイスするのもアリです。
現に僕は通勤用として買ってみたものですが、毎日雨の日も風の日も乗りまくっているというのに、ノートラブルなんですよ。とっても頑丈で経済的です。
何かと250で車種選びで悩んでいる人がいたら、ジクサー250も候補にしてみてはいかがでしょうか?
バイク選びをしているアナタがバイクに求めているものや価値観も色々あるとは思いますが、スポーツバイクとしては及第点ではないかと思いますので、すこーしだけ候補に考えてみてください。
きっと、色々と応えてはくれそうな気がしますよ。
ボーナスも入ったことですし…!!?
もーっとジクサーのことを知りたい場合は、是非ともうちのコンテンツをご覧くださいませ。

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2022年12月21日ジクサー

Posted by magamo