【コラム】スバルサンバーをもう一度!
圧倒的積載力
働くクルマとして、最重要項目として挙げられるのは「積載力」です。
このサンバーにおいては、当時並んで出た他のライバル軽バンに比べて、ひとつ抜け出た積載性を誇っていました。それは、その個性が強すぎるヘンな形にあります。
平成10年。
軽自動車に衝突安全性の基準が設けられ、前面部の衝突剛性を強める規制ができました。
そのため、軽トラ・軽バンはその基準を満たすために、ボンネットを前に出すデザインを施さなければならなくなりました。
これまでの軽トラ・軽バンに関しては、40代の中年の方ならご存知かも知れませんが、ボンネットが無い「キャブオーバー方式」の型をしておりました。
このように、運転席からフロント先端までの距離が無いのを「キャブオーバー」
それが、衝突剛性を強める規制によって、軽バンにもボンネットを必要とされてしまい…
このように、フロント部分から運転席までの距離が多く取られるデザインとなりました。
もちろん、形としても乗用として一般受けしそうな感じで、いいことかもしれませんが、これによる弊害は生じているのです。
それは「室内の広さ」です。
デザインを重視した、スバル以外のメーカーは、フロントから流れるように全体をバランス良く魅せるために、形にこだわったのに対し、スバルは…
なんですの?このいびつな形は?
とにかく衝突安全性基準を満たすために、ボンネット部を「ちょい」と出して基準を満たし、残りは従来の積載能力を踏襲しようと頑張った、いわゆる「強引な極振りステータス」を絵に描いたような仕様が形となっています。
この無理矢理な形こそが、職人やマニアから愛されるサンバーブランドを確定させたのです。
荷室の異常な広さ
貨物として一番大切なステータスである「荷室の広さ」ですが、これがサンバーだけが異常。
先述の通り、衝突剛性の規制改訂により他メーカーがデザインを一新して荷室を狭くする中、スバルサンバーだけは荷室の広さを保持。
他メーカーの軽バンが約1800mm(1.8メーター)である中、サンバーだけは驚異の2メーター超え!
「たかが20cmじゃね?」という意見もあるでしょうが、僕はこのサンバーをバイクのトランポとして使用していました。バイクにとって2mというのは紙一重の数字なのです。
このわずか20cmの違いで、バイクの全長とフェンダーの先が収まるか収まらないかのギリギリ勝負の世界なんです。
フェンダーで超えちゃった場合、バイクをナナメ積みして解決するわけですが、このサンバーだけはナナメ積みせず、まっすぐ積載することができます。これが何を意味するかというと、中型バイクなら2台を積載することができるということなのです。
さすがに、ハーレーなどのアメリカンやリッタークラスのホイールベースの長い車両は無理ですが、細くてコンパクトなバイクなら、2台余裕で積載することができるんです。
横は130強くらい。これは他メーカーの軽バンも変わらないと思います。
だた、130はなかなか広いです。1mを超えてるので、色んな物が運べます。
この広さは、この画像からではあまり伝わりにくいですが、この荷室の広さから…
セカンドシートを活かしたまま、ミニバイクを横に積載できます。
こんな芸当ができるのは、サンバーだけだと思います。
現行の軽バンたちは、広くなっているかも知れませんが、フロント周りのデザインから、このような積載をすることはできないのではないかと思います。
このように、荷室の広さは他の軽バンに比べて、圧倒的に凌駕しているのです。
引っ越しなどでは大活躍するのではないかと思います。
もちろん、中型バイクを縦に積載することができるので、片方のセカンドシートを活かしたまま積載が可能。バイクを載せて3人の乗車が可能です。
前輪の位置
前輪の位置…なんとも地味な項目でしょうけれど、これが意外と運転の感覚に大きく影響します。
現行のサンバー(アトレー・ハイゼットなど)は、運転席や助手席よりも前に前輪があることがわかります。これによって、ホイールベースを長く取って、直進安定性を得ることができるわけですが…
この運転者の足元に来るタイヤハウス(タイヤがあるでっぱり)が違和感で、アクセルペダルが少し左側になり、多少足元が窮屈になってしまう感が否めないのです。一般車両を運転したあとに、こういった軽バン、軽トラを運転する時に違和感を感じる人は少なくないと思います。
汚い車内で申し訳ありませんが、その点サンバーは従来の軽トラと同じ方式である、運転席の下に前輪を設置。そのため、アクセルペダルの位置は従来通り足元の車内の一番右に位置しています。
他車の画像がなくて比較できませんが、かなり広いんです。
些細な項目かもしれませんが、意外と気になります。前輪の位置による足元の空間の広さは、かなりの違いがあるんです。
たかが軽トラだと侮れない、こんな小さな空間からの気遣いから、職人たちの仕事を少しでも快適にできる工夫がなされているのです。
恐るべき車内空間…
当然ではありますが、さすが貨物だけあって、車内空間の広さは異常です。
リアシートを活かした状態でも、結構な積載が可能です。
子どもなら二人並んで眠れるくらいの広さです。
バーベキュー道具や自転車を載せてレジャーも楽しめそうです。
リアシートを畳んでしまえば、完全フルフラットな車内となります。引っ越しの荷物積載などでも大活躍しそうです。もちろん、高さもあるのでバイクも積載可能です。リッタースーパースポーツも普通に縦に積載できてしまいます。
リアシートの広さも異常
リアシートの広さも異常なほど広いです。
かつて、ダイハツムーブがリアの荷室を犠牲にして、リアシートをめいっぱい下げることでリアシートの足元の空間を広く取る方式を採用し、今ではファミリー軽自動車の常識となっていますが、サンバーは普通に広いです。
またまた汚くて申し訳ありませんが、この足元の広さはトヨタアイシスなどの7人乗りミニバンクラスよりも広いです。
50cmという数字ではパッとしませんが、やや大きめサイズのクーラーボックスがどかんと入ります。
それなら、ファミリー軽自動車の方が快適だし広いしいいじゃないかという声もありますが、サンバーや軽バンには、ファミリー軽自動車にはできない芸当があります。
それは…リアシートのリクライニングです。
めいっぱい倒して寝ることも可能。ファミリー軽ではちょっと角度を変えるくらいが精一杯でしょう。
サンバーをはじめ、軽バンは荷室のスペースがあるため、セカンドシートを完全リクライニングすることが可能なのです。
お買い物車として軽バンを使って生活している主婦層は、そのあたりを把握している賢い主婦であると考えます。軽バンはただの貨物としてくくってしまうのは非常にもったいない。普段のお買い物とファミリーのドライブにおいて、完全なリクライニングが可能な快適性を秘めているのです。
リアシートのレイアウトは変えることができる
基本的に、貨物のグレードであるトランスポーターは、働く車である貨物にありげな、二人掛けのベンチシートです。
しかし、サンバーにはマニアックな4ナンバーディアスという、セカンドシートがセパレート型になっている4ナンバー仕様が存在しています。もちろん、5ナンバーのサンバーディアスという快適性を備えた最高グレードのサンバーは、セパレートな上シートも分厚く快適で、缶ホルダーまで搭載した実用性最強のシートを兼ね備えていますが、それが4ナンバーにもあるのです。
その4ナンバーディアスのセカンドシートのみを手に入れることができれば、貨物の申請で車検を通すことができる上に、セカンドシートをセパレート化することができるのです。
セカンドシートの板とシートが一体化したパーツを手に入れることができれば、そっくりそのまま移植することができます。
これを手に入れることができれば、トランスポーターのグレードで、セパレートシート化を実現することが可能です。シートの質も貨物であり、リクライニングも細かく調整できないので、貨物での車検で通すことができます。5ナンバーのシートセットを取り付けると、貨物で車検を通すことはできないので気を付けてください。
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